猫に連れ去られた鳩の雛

ベランダのすぐ外に四メートル位の木があって、いつの間にか鳩が巣を作って子育てをしているようだ。

子育てをしていると思ったのは、巣の中に一回り小さい鳩を目撃した事があるからだ。それ以来時々巣の様子を伺ってみるが、巣の上に鳩の模様が見えるものの、それが親鳥なのか雛鳥なのかはわからなかった。鳴き声なども一切なく、いつも静かにしているようだ。

私が気付かないだけかもしれないが、親鳥が巣に出入りするところもあまり見たことがない。何日も雛鳥を置いたまま巣を離れているのだろうか？また、親鳥は１羽だけで子育てしているのか、あるいは、つがいになって２羽で育てているのかもよくわからない。２羽で育てているとしても、巣の大きさから考えて２羽が同時に入れるような大きさではないように思える。でも、巣のある木から２羽の鳩が仲良く同時に飛び立つのを見た事があるので、もしかしたらあの２羽が親鳥なのかもしれない。

猫の夜襲

ある日の深夜、外でカサカサと物音がしたので何者かとカーテンの外を除いてみると、猫が二匹いて唸り声をあげていた。猫の喧嘩かなと眺めていると、いつの間にかもう一匹が暗闇に消えていなくなり、残った猫は鳩の巣がある木の中腹に登り何やら辺りの様子を伺っているようだ。

しばらくすると、猫は木に上へ登っていき、鳩の巣まで到達してしまった。暗くて見えなかったけど巣の中を漁っているようだ。

木から降りてきた猫にライトを当ててみると、なんと鳩の雛を銜えていた。雛鳥は鳴き声も上げずにモゾモゾと動いていた。そして、猫はそのまま勢いよく走り去ってしまった。

鳩の親鳥がいた気配は感じられなかったが、親鳥は留守だったのだろうか？

そして、雛鳥は猫に食べられちゃうのだろうか。。。

朝になって

カーテンの外を覗いてみると、なんと巣の中で親鳥と雛鳥が戯れていた。今まで気づかなかったが、小さい巣の中にはもう１羽の雛鳥が育っていたようだ。

雛鳥が１羽居なくなっていることに親鳥はどんな思いなのだろうか？

雛鳥はエサをねだっているのか、あるいは、怖かった猫の事を訴えているのだろうか、ジタバタと激しく動いている。

連れ去られた雛鳥は残念だが、それでも鳩のファミリーが全滅していなくて良かった。

再び猫が襲ってこない事を祈る。

再び深夜になって

昨夜と同じ時間のことです。ベランダの外で枯葉を踏む小さな足音がしたので、カーテンの隙間からそっと覗いてみると、昨夜の猫が木によじ登っているところでした。こりゃいかんと、ベランダに出て猫にライトを当てると猫の目が光に反射してギラリと光りこちらを見ています。数秒間睨み合った後、猫は逃げていきました。

でも、また来るのでしょうね。

それから数日が経過

ここ数日、巣は空き家になっているようだ。

引っ越したのか、巣立ったのか、猫に襲われたのかはわからない。

どこかで元気で暮らしていればいいな。