スポーツ自転車でのフレーム破断やクラックについて
公開日: 2021-10-04 11:29:32 (4756文字)
もしも自転車に乗っている時、突然ハンドルやフレームが破断したらどうなるか・・・想像するだけで恐ろしくなります。
子供の頃は、自転車で転んでも擦り傷程度で済んだものだ。しかし、スポーツ自転車で転倒したら擦り傷程度では済まないだろう。
目次
- とある自転車での事故
- 事故の概要
- 感想
- フレームや重要部品の破断に関する記事
- 走行中にフレームが完全に破断
- ビアンキの自転車。フレームが完全に破断
- YouTuber けんたさん。ピストバイクのステムが完全に破断。
- 走行中にフレームが破断した折りたたみ自転車(Tern)
- Dedaのアルミ製?ステムが完全に破断
- クラックに関する記事
- アルミフレームのロードバイク。フレームの溶接部にクラック発生。
- BD-1(折りたたみ自転車)の各所に発生したクラック。
- カーボンフレームのロードバイク。シートステーにクラック発生
- 3Tのアルミ製ステムに発生したクラック
- アルミフレームでも錆びる場合がある。
- アルミ製のドロップハンドルの錆
- アルミフレームのロードバイクの錆
- 「アルミ」と「カーボン」のハイブリッドタイプのフレームで、アルミ部分が錆びている。
- アルミフレームのロードバイク。ボトルケージのボルト穴付近に発生した錆。
- 有名メーカーだからといって絶対ではない。
- 折りたたみ自転車は危険なのか?
- どうしたらよいか?
- まとめ
とある自転車での事故
https://www.youtube.com/watch?v=cEcyj-HOm0E
https://www.youtube.com/watch?v=DtSYEX10dLE
上記の動画は、2008年8月に起きた自転車での事故を報道したもの。自転車に詳しい人なら知っているかもしれないが、私は最近知った。
事故の概要
- ビアンキの BACK STREET というフロントサスペンション付きクロスバイク。
- 走行中に前輪が抜け落ちて転倒。(フロントフォークのサスペンション部分が分離してしまった)
- 舗装路での事故で路面に凹凸はなかった。
- 事故の目撃者によると無理な乗り方はしていない。
- 運転者は頸椎を損傷。手はわずかに動かせるものの、首から下はほとんど動かなくなった。
- 事故から1年7か月経過した時点でも車椅子による生活で、これ以上の飛躍的な回復は難しいという。
- 日本車両検査協会の検査によると、サスペンション内部のスプリングが左右両方とも切れており、これが事故の原因だとした。また、スプリングの切れた部分が茶色く錆ついていることから、サスペンション内部に雨水などが溜まっていたと推定。サスペンションに水抜き穴はなく、他に、結露による錆の可能性も考えられるとのこと。
- 雨の日は極力乗らず、玄関か縁側で保管していた。(縁側だと完全に雨は防げないかも?)
- サスペンションの分解点検はしていなかった。それ以外のタイヤ、チェーン、ブレーキなどのメンテナンスはしていた。
- サスペンション内のスプリングだけで車体側と前輪側を繋ぎとめている構造。
- この事故以前にも、スプリングが切れるという同様の事故が、少なくても3件起きている。(過去何年までのデータなのかは不明。また、この3件について、どれも台湾の「RST」というメーカーが製造したサスペンションのようだ)
- 新車で購入し、価格は 78,000円。
- 事故は、購入から6年後に発生。
- ビアンキとはいえ、ビアンキは製造に関わっておらず、台湾の「台湾穂高」という会社が組み立てを行った。また、サスペンションは台湾の「RST」というメーカーが製造した。それらの業者選定は日本のアキボウが担当。 (高額な自転車以外は殆どが台湾か中国製と考えてよいだろう。そして、それが一般的であり主流)
- 「RST」が製造したサスペンションによる同様の事故は、他に、少なくても3件起きている。
感想
スプリングの破断面が茶色く錆びており、しかも丸まっていることから、事故が起きる前から既にスプリングは切れており、事故に至るまでたまたまサスペンションが抜けなかっただけかもしれない。
自転車を揺すったり、軽く持ち上げてストンと落としてみて、ガタや異音がないかという点検をしていたら、この事故は防げただろうか?
スポーツ自転車はスピードも出ますし、総走行距離が○万キロという人もいるでしょう。乗れば乗る程、目には見えないダメージが蓄積されている可能性もあります。こういった事故に巻き込まれる可能性は低いと思いますが、とはいえ、自転車というのはこのような大怪我を負うリスクが一定程度はあるのだと思いました。
フレームや重要部品の破断に関する記事
走行中にフレームが完全に破断
- 拡大画像1枚あり
- KHSさんの折りたたみ自転車。
- 材質不明。カーボンではない。
- メーカーの一次解答は、溶接不良。(どんなに良い材質でも、溶接不良というリスクもあるということですね)
- 走行距離はトータルで8,000kmぐらい
- 破断面が茶色く錆びているようにも見える?
- https://friday66.hatenablog.com/entry/20110725/p1
ビアンキの自転車。フレームが完全に破断
- 拡大画像が1枚あり
- フロントサスペンション付きクロスバイク
- 材質不明。カーボンではない。
- 7年使用
- 走行中に突然破断したとのこと。
- 画像を見ると、茶色く錆ついている箇所があるので、保管状況は悪かったのかもしれない。
- チェーンが茶色く錆ているようだ。おそらくノーメンテだろう。
- https://kazamakase.exblog.jp/10368307/
(転載した記事)(画像が2枚あり) - http://www.rll.jp/hood/text/harpobucho/20080817014638.php
(元記事)(拡大画像が1枚あり)
YouTuber けんたさん。ピストバイクのステムが完全に破断。
- 力をかけるとハンドルが下がってしまうという異変を、数日前から感じていた。(しかし、まさか破断するとは思わなかったのだろう)
- 漕ぎ出しの際に、完全に破断してしまったそうだ。本人は無傷。
- ステムは税抜きで18,000円のもの。
- 材質不明。カーボンではない。
- 動画を見てみると、ステムは2重構造になっているようだ。
- https://www.youtube.com/watch?v=KwpvbGmrhXE
走行中にフレームが破断した折りたたみ自転車(Tern)
- 2015年9月17日 国民生活センター公表
- 折りたたみ自転車(Tern)で走行中、段差を乗り越えた際に、折りたたみ部分が破断して転倒し、顔面打撲等の傷を負った。
- 原因は溶接強度不足。
- 生産国: 台湾
- 輸入代理店である株式会社アキボウがTernの6車種でフレームの回収と交換を行った。
- 現在の同モデルの価格帯は25~30万円前後
- http://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20150917_1.pdf
Dedaのアルミ製?ステムが完全に破断
- 拡大画像4枚あり
- ハンドルを締め付ける側が完全に破断してしまっている。
- http://js1ktr.livedoor.blog/archives/18257063.html
クラックに関する記事
アルミフレームのロードバイク。フレームの溶接部にクラック発生。
- 拡大画像が2枚あり
- 製造から3~4年ほどか?
- 約1万6000㎞走行
- 変速が上手く決まらなかったり、力が逃げる感じがしたなど、前兆現象?かもしれない事はあったとのこと。
- https://wxw.at.webry.info/201108/article_1.html
BD-1(折りたたみ自転車)の各所に発生したクラック。
- 製造から20年ほど経過している模様
- 材質不明。カーボンではない。
- シートポスト、ハンドルステム、フレーム、フロントフォーク(画像多数あり)
- アルミフレームは4年を過ぎると経年劣化による故障が増えるとのこと。
- 他社の自転車説明書には「たとえ全く使っていない場合でも経年劣化は発生します」と書いてある。
- http://blog.livedoor.jp/wadacycle-news/archives/80437257.html
カーボンフレームのロードバイク。シートステーにクラック発生
- 画像3枚あり
- 停車中の突風で転倒させてしまったらしい。
- http://bike.ewarrant.net/?eid=486
3Tのアルミ製ステムに発生したクラック
- 拡大画像が2枚あり
- ステムの取り付けはショップで行った為、トルク管理はしっかりしてもらっているはず、とのこと。
- 強い衝撃を加えた記憶は一切ない
- 3年使用
- 坂道での使用が多く、そういった使用状況が長年積み重なったのでは、とのこと。
- http://toge13.com/2019/02/24/post-1560/
アルミフレームでも錆びる場合がある。
錆の進行とともに、強度が落ちる可能性がある。
アルミ製のドロップハンドルの錆
- 拡大画像2枚
- バーテープを剥がしたところ、握っていたと思われる部分が白い錆だらけ。汗の影響だと思われる。
- http://www.cyclesta.jp/2018/02/20/%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%9F%E3%81%AE%E8%85%90%E9%A3%9F%E3%81%AB%E3%81%94%E6%B3%A8%E6%84%8F%E3%81%8F%E3%81%A0%E3%81%95%E3%81%84/
アルミフレームのロードバイクの錆
- 拡大画像2枚
- リアエンドの内側にある水抜き穴の周辺に錆が発生。
- 錆は塗装の下で発生しており、塗装面が凸凹になっている。
- 製造から6~7年ほど経過しているようだ。
- https://mystaranbike.hatenablog.jp/entry/20180324/p1
「アルミ」と「カーボン」のハイブリッドタイプのフレームで、アルミ部分が錆びている。
- 拡大画像3枚
- 最初に錆が発生した時に補修をしたが、一年も経たずに再び錆が発生したとのこと。
- 場合によっては鉄(クロモリ)よりもダメージが大きくなるとのこと。
- https://www.pro-fit.ne.jp/systemsix.htm
アルミフレームのロードバイク。ボトルケージのボルト穴付近に発生した錆。
- 画像3枚
- ブリヂストン社製で8年使用?
- アルミフレームは、一旦腐蝕がはじまると鉄フレームよりやっかいなシロモノですよね。とのこと。
- http://yuquihiro.blog118.fc2.com/blog-entry-298.html
有名メーカーだからといって絶対ではない。
- 自転車そのもの、あるいは一部のパーツが外国や別会社で生産している可能性。
- 欠陥品・不良品の可能性。
- 溶接不良や設計ミスの可能性。
折りたたみ自転車は危険なのか?
折りたたみ自転車は折りたたみ機構があるので、故障のリスクが上がるという事はあるかもしれません。しかし、だからといって他の自転車が壊れない訳ではありません。どちらであっても日頃の管理を怠ってはならいという事は同じですので、私は折りたたみ自転車を買いました。
どうしたらよいか?
- 高い自転車ほど精密で軽量化されているので、よりデリケートに扱う必要があるだろう。
- 安すぎる製品、メーカー名が不明な製品は避ける。
- 何かあっても問い合わせ先が不明、あるいは国外かもしれない。
- 安心感がない。
- リコールなど製品の不具合が発生しても公開しないかもしれないし、そもそもメーカー名が不明なのだからその情報に気付かない。
- 屋内に保管する(屋外保管は屋根があっても避けたい。湿気や結露。フレーム内部からの錆のリスク)
- 雨天時は乗らない。(錆のリスク)
- 水洗いもやばいのでは。どこから水が入るかわからないし、一度入ると、なかなか抜けないかもしれない。
- 中古パーツ、中古自転車は安いが、それだけ耐久性が落ちている可能性を考える。ボルトなどの部品についても同じ。
- お店だけに頼らず、自分でも点検する。
- ガタや異音がないか。
- 目視によるクラックや変形のチェック
- お店だけに頼んだ場合、点検と点検の間に異常が発生して、その異常に気が付かなければ怖いことになる恐れがある。
- 自転車は定期的に乗り換えた方がいいかもしれない。(走行距離・経過年数)
- まれなケースではあるが、最悪はこうなるという事は知っておいた方がいい。(怖いという気持ちを感じればこそ、安全の為にどうすれば良いか考えられる)
まとめ
- 世の中に「絶対大丈夫」というものはない。
- 事故が起きる可能性は低いかもしれないが、たった一度の事故で人生が大きく狂ってしまうかもしれない。
- 自分の身は自分で守るという考え方が一番大事だと思う。
- 最悪の場合はこうなるという事実を知る。
- 自転車の異常を早期発見するよう努める。(目視点検やガタ、異音のチェックは誰でもできる)
- 自転車を痛めるような保管方法、使用方法を避ける。