名無しさん

年金で損をしたとしても繰り下げ受給を選択した方が生活が豊かになる?

公開日: 2022-04-29 11:35:00 (2869文字)
更新日: 2022-04-29 11:52:30
生活 考えたこと 年金
目次

年金の繰り下げ受給

年金の受給開始年齢を最大で75歳まで繰り下げることが可能になった。

75歳で受給を開始すると、65歳から受給を開始するよりも 84%も受給額が増額する。

しかし、75歳から受給を開始するので、早く亡くなってしまうと、年金の総受取額が少なくなってしまうことになる。

日本人の平均寿命

厚生労働省によると、2020年の日本人の平均寿命は男性が 81.64歳、女性が 87.74歳。

2019年と比較して男性は 0.23年、女性は 0.29年上回ったそうだ。

平均寿命とは、0歳の人の平均余命を言います。

繰り下げ受給すべきかシミュレーションしてみた

年金の受給開始年齢についてシミュレーションしてみると、意外なことに気がついた。

それは、年金の総受取額で損をしたとしても、繰り下げ受給を選択した方が生活が豊かになるということだ。

シミュレーションで想定する老後の計画

以下のような想定で65歳から受給する場合と75歳から受給する場合をシミュレーションして比較します。

シミュレーション結果

上記の設定で65歳から年金を受給した場合と、75歳から年金を受給した場合との比較となります。

年金の受給開始年齢について、65歳と75歳での比較

受給開始: 65歳       受給開始: 75歳
預金: 4,000万円      預金: 4,000万円
年金: 12万円/月      年金: 22万円/月
生活費: 月20万円     生活費: 月20万円
娯楽費: 月1万円      娯楽費: 月5万円

預金残高の推移
70歳   3,352万円     2,200万円
80歳   2,272万円       784万円
90歳   1,192万円       424万円
100歳    112万円        64万円

年金の総受取額の推移
70歳     720万円         0万円
80歳   2,160万円     1,320万円
87歳   3,168万円     3,168万円
90歳   3,600万円     3,960万円
100歳  5,040万円     6,600万円

年金の受給開始前に死亡したとしても、75歳から年金を受給した方が豊かな生活を送れる

100歳時点で預金残高が残らないように娯楽費で調整をすると、65歳から年金を受給した場合は月1万円の娯楽費が確保でき、75歳から年金を受給した場合は月5万円の娯楽費が確保できました。

この娯楽費は65歳から100歳までずっと変わりません。

なので、何歳で死亡するにしても75歳から年金を受給した方が生活が豊かになるということです。

例えば、75歳から年金を受給するとして、74歳で亡くなってしまうと、年金は1円も貰えないことになります。しかし、65歳で仕事を引退してから74歳で亡くなるまで毎月5万円の娯楽費を使うことができます。

一方、65歳から年金を受給するとして、74歳で亡くなった場合は、3,928万円も年金を受け取ることができます。しかし、65歳で仕事を引退してから74歳で亡くなるまで毎月1万円の娯楽費しか捻出できません。

ちなみに、年金の受給開始年齢に関係なく、毎月の娯楽費を増やすことはできません。なぜなら、娯楽費を増やしてしまうと100歳に到達する前に資金が枯渇して生活が破たんしてしまうからです。

年金の総受給額が多くても、使わずに死んでしまっては意味がない

65歳から年金を受給するとして、74歳で亡くなった場合は、3,928万円も年金がもらえるのに、月に1万円しか娯楽費を捻出できないのは不思議な感じがしますが、その理由は、年金を娯楽費にまわす余裕がなくて生活費に消えてしまうからです。また、将来受け取れる年金額が少ないと判っているので、多額の預金があっても将来に備えて取り崩すことができないわけです。

対して75歳から年金を受給する場合は、将来受け取れる年金が多いことが判っているので、長生きに備えた蓄えを少なく見積もることができ、余力を娯楽費として生きているうちに消費することができるわけです。

どの年齢で亡くなっても75歳から受給を開始した方が預金残高が少なくなる

70歳から100歳のうち、どの年齢で亡くなっても75歳から受給を開始した方が預金残高が少なくなりました。

逆に言えば、65歳から年金を受給した場合は、より多くの預金を残したまま亡くなるということです。

単身者であれば、もったいないないですね。

年金の総受取額を比較すると、87歳の時点で年金の総受取額が同額になった

年金の総受取額を比較すると、87歳の時点で年金の総受取額が同額になりました。

つまり、86歳以下で亡くなるのであれば65歳から年金を受給した方が総受取額が多くなりますし、88歳以上生きるのであれば75歳から受給した方が総受取額が多くなります。

2020年の男性の平均寿命が 81.64歳なので、確率的に男性の場合は65歳から受給した方がより多くの年金を受け取れそうです。

対して、女性の平均寿命は87.74歳なので、どちらを選んでもそれほど変わらないかもしれません。

ただし、年金の総受取額が多くても少なくても、65歳から年金を受給した場合は月1万円の娯楽費しか確保できませんし、75歳から年金を受給した場合は月5万円の娯楽費が確保できます。

例えば、65歳から年金を受給して80歳で亡くなった場合、年金の総受取額は2,160万円も受け取れますが、それでも65歳から80歳までの娯楽費は月1万円しか捻出できません。

対して、75歳から年金を受給して80歳で亡くなった場合、年金の総受取額は1,320万円と少なくなりますが、それでも65歳から80歳までの娯楽費は月5万円も確保できます。

年金の総受取額だけで損得を考えるのではなく、実際の生活水準も交えて考えるべき

年金の受給開始年齢を遅らせると、将来受け取れる年金額が増えるため、その分蓄えを残さずに娯楽費として消費することができます。

逆に言えば、受給開始年齢を早めると、将来受け取れる年金額が減るため、その分だけ蓄えを残しておかなければならず、結果として娯楽費を抑える必要があります。

このように考えると、年金の総受取額では損をしても、より生活が豊かな方を選択した方がよいというのが結論です。

つまり、年金の受給開始年齢は75歳を選択すべきかと。

自分の老後の資金計画をシミュレーションしてみよう

このシミュレーションはこのページで設定した条件によるものです。
実際にどうなるかは、ご自身の条件で比較検討してみることをおすすめします。

ライフプラン シミュレーター
https://lifeplan.nanashisan.net/


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