映画「JUNK HEAD」を見て
更新日: 2022-05-11 04:34:34
映画「JUNK HEAD」
2017年 1時間40分
人工生命体マリガンを調査するため、彼らが支配する地下世界に送り込まれる主人公の物語。
感想
想像力と完成度が素晴らしい
人工生命体マリガンや彼らに襲い掛かるモンスターの想像力や完成度が素晴らしい。
人形を少しづつ動かしながら撮影しているのだろうけど、動きが自然でよく出来ている。
一部はCGも使われているようだが、どこがCGなのかわからなかった。
また、地下世界の広さやコンクリートや金属などの質感もよく出来ていて完成度が高い。
マリガンは粘度のような固まらない素材で作られているのだろうか?
広大なトンネルは一体どこまで続いているのだろうか?など、独特な雰囲気の世界は見ていて飽きないし、想像力を掻き立てられる。
味気の無い地上世界
地上の世界は科学が進んで不老不死を手に入れたようだけど、その代わりに生殖能力を失ってしまった。
生活も現代とは様変わりしていて、頭部?だけは生身の体のようだけど、体自体は機械になっているようだ。
窓に映る景色は本物ではなくて映像が映し出される偽物だし、ダンスを踊るのもバーチャルだし、食事にしても食べてるイメージを感じるだけ?のようだった。
もしかしたら、食べ物は栄養が納められたカプセルとかで摂取しているのかもしれない。
あらゆることが便利になった代わりに何かを失っており、随分と味気のない世界だなと思った。
これでは幸せとは呼ばないかもしれないし、生きているという実感も感じられないのかもしれない。
我々人類もそういった方向に向かっているのだろうか?
地下世界は階層構造になっており、生活レベルや役割の違いがあるようだ
地下世界は階層構造になっており、階層によって住んでいるマリガンの種類や食べ物などの違いがあるようだ。
人間世界でも国や地域によって文化や価値観が異なっているし、また、同じ国や地域であっても格差というものがある。
マリガンの住む地下世界もその点は同じなようだ。
また、目にゴーグルのようなものを装着しているのは、日光が届かない闇の世界のために目が退化したのを補うためだろうか?
クノコ
あの奇妙な肉?は何なんだろ?
何処までも続く長い部屋の両壁に埋め込まれた人間の背中?に寄生虫みたいなものを植え付けて育てているのだろうか?
想像力が掻き立てられて興味をそそる。
時代が進んでも変わらないもの
あれだけ時代が進んでいても見慣れない部外者(赤い服を着た人間に似た若いマリガン)をいじめたりするというのは未来になっても変わらないようだ。
必要なのは争いではなく協力
人類と人工生命体マリガンはお互いによく知らない存在だけど、危機を乗り越えるのに必要なのは争いではなく協力することではないかと感じた。
人類とマリガンではどちらが幸せか?
人類は不老不死を手に入れたようだけど、全てが効率化されていて、ただ生きているというか生かされているだけって感じ。
対してマリガンはモンスターに殺されることもあるけど、それでもそれなりに精一杯生きているって感じ。
笑いもあるようだし。
永遠に死なないのであれば、やりたい事を今すぐやらなくてもいいわけだから結局毎日ダラダラとするだけになってしまうような気もする。
不老不死で毎日が楽しいことだらけだとしても、いずれ飽きてしまう時が来るのだろうか?
限りある命と時間だからこそ大事にしようとするのだとしたら、寿命には限りがあった方がいいのかもしれない。
地上世界とは違って死が存在する世界だが、主人公が語っていたようにその方が生きているという実感が持てるのだろう。