映画「屋根裏の殺人鬼 フリッツ・ホンカ」を見て
更新日: 2022-04-18 03:19:30
映画「屋根裏の殺人鬼 フリッツ・ホンカ」
2019年 1時間50分
原題(英)「The Golden Glove」
The Golden Glove (ゴールデングローブ)とは、フリッツ・ホンカが出入りしていたバーの店名。
公式サイト
https://www.bitters.co.jp/yaneura/intro.html
1970年代、ドイツのハンブルクで実際に起きた連続殺人事件を基にした作品。
連続殺人犯であるフリッツ・ホンカの日常と犯行の様子が描かれている。
感想
バーで女を物色しているのは、孤独という寂しさを埋めるためなのかと思いきや、そうではなくて単純に性欲を解消したかっただけのようだ。
ついカッとなって殺害してしまったという感じではなく、そもそも人に対する思いやりとか優しさが欠落していて、用が済んだり気に入らなかったりすると物のように始末してしまうといった感じ。後悔もしていなさそうに見える。
酒を飲むと乱暴になるのかと思いきや、そうでもなさそうで、素面の状態でもいきなりぶん殴ったりするような男。
とはいえ、暴力を振るうのは女に対してのみのようだ。
普通では考えらない犯行なので、もしかしたら、精神を病んでいるのかな?と思った。
警備員の仕事でフリッツ・ホンカに拳銃が支給された時は「おいおい、この人に拳銃を渡しちゃダメだろw」とホラー映画のよくあるパターンのようで、思わず突っ込んでしまった。
彼がなぜそのような人間になってしまったのかについての描写は意図的に排除したとのことだが、その点についても触れてほしかった。
なぜなら「恐ろしい人がいたんだね」だけで終わってしまうような気がするから。
フリッツ・ホンカは実在した人物のようだ
公式サイトによると、どうやらフリッツ・ホンカという人物はドイツのハンブルクに実在した人物のようで、1970年代に4人の娼婦を殺害したそうだ。
あれだけの犯行を犯していたのだから、過去に犯罪歴はなかったのだろうか?
※ ただし、この映画で描かれていることが全て真実かどうかはわからない。多少は付け加えている部分もあるかもしれない。
酒
交通事故に遭い、一旦は酒を断つことができたようだ。(彼がアルコール依存症だとすると、自分の意思だけで酒を断つことは可能なのだろうか?)
その時は警備員の仕事も真面目にできていたので、彼の中にある凶暴な一面というのは、酒によって呼び起こされるのかもしれない。
しかし、その凶暴な面は酒によって生み出されるのではなく、彼の心の中にいつも存在しているように思った。
酒場の人達
酒場の客は、酒を飲むというより、酒に飲まれてしまった人が多く目に付きました。
なんというか、人生に疲れてしまった人といった感じで、酒に逃げているだけじゃん、と思いました。
しかし、監督のインタビューを読むと、この物語の多くの人は第二次世界大戦での敗者や社会の最下層階級の人達である、と語られています。
なるほど、酒場で曲を聞きながら泣いている人達がいましたね。戦争の暗い影をまだ背負っている人達なのでしょう。
戦争で家族を失ったり、仕事や生活の再建ができなかった人達なのかもしれません。
酒を飲むしかないというのは救いがないですが、一方で、酒を飲む金すらがない人達も描かれていました。
フリッツ・ホンカによって殺された4人の犠牲者は、居なくなっても誰にも気づかれないような人達だったのかもしれません。
フリッツ・ホンカは幼少期に肉体的・精神的虐待を受けていた?
公式サイトにて監督のインタビュー記事を読んでみると「映画では、ホンカの出自や、幼少期の肉体的・精神的虐待について語りません」と語っている。
どうやら、フリッツ・ホンカは幼少期に肉体的・精神的虐待を受けていたようですね。
曲った鼻、斜視、汚れた歯はその名残りでしょうか?(どうやら事件よりも以前に交通事故に合っているという情報があり、その影響かもしれない)
彼の犯行は残忍で理解ができませんでした。しかし、虐待されたことによってフリッツ・ホンカの心が壊れてしまい、その結果としてこのような犯行に至ってしまったのだとしたら、何だか複雑な気持ちになります。
特殊メイク
連続殺人犯であるフリッツ・ホンカを演じたのは、当時22歳でドイツ出身の俳優ヨナス・ダスラーさん。
イケメン俳優でビックリ。髪の毛もフサフサでサラサラです。
特徴的な斜視はコンタクトレンズで再現しているのだそうです。