名無しさん

映画「トランス・ワールド」を見て

公開日: 2022-04-03 20:03:07 (6425文字)
更新日: 2022-04-03 20:02:55
映画感想

映画 トランス・ワールド

映画「トランス・ワールド」
2013年 1時間29分

原題「Enter Nowhere」
自動翻訳してみると「どこにも入力しない」「どこにも入ってはならない」

抜け出すことの出来ない不思議な森に迷い込んでしまった強盗犯のジョディ、妊娠中のサマンサ、養護施設に向かう途中のトム――。そして、彼らのもとにドイツ兵のハンスが現れる…。

目次

感想

前半は、謎要素があるので物語の中に引き込まれるが、それらの謎が明らかになると「ああ、そうだったんだ」という感じで終わってしまった。おそらく、彼らが体験した出来事というのは「一種の魔法」のようなものなのだろう。でも、全ての現象が「魔法」であったと解釈してしまうと、見終えた後に「ああ、そうだったんだ」で終わってしまうので、そこが残念だったかも。そうではなくて、見終えた後に「なるほど!そうだったのか!」という驚きの展開、理由が欲しかった。もしくは、何かを考えさせられるようなテーマを残してくれたらよかった。

ドラマ「LOST」の影響

Wikipedia によると、監督のジャック・ヘラーは、ドラマ「LOST」や「トワイライトゾーン」のエピソードから影響を受けたそうだ。

たしかに、地下への扉を発見した時は、ドラマ「LOST」のシーンが頭に浮かんだし、集められた3人に繋がりがあるという設定も「LOST」に似ている。あと、時間軸が交差しているあたりもね。死ぬところの夢を見るのも「LOST」の影響だろうか。

不思議な森の世界の雰囲気、スーパーの金庫やメリーゴーランドのおもちゃなどについては、言われてみれば「トワイライトゾーン」っぽい感じもある。

スーパーの金庫

最初の強盗シーンで、金庫を開けろというジョディに対して、スーパーの店主は「中身はあんたのお気に召さんよ」と言った。そして、ラストの強盗シーンでは「そんな人生でいいのか?」「中身はお気に召さんよ」と言った。

スーパーの店主は、金庫に「秘密」があることを知っているのだろう。なので、トム、サマンサ、ジョディ、(もしかしたらハンスも?) が森に迷い込んだ事と、スーパーの「金庫」には関係があると思う。

あの金庫は、スーパーの店主の「守り神」のようなもので、自分を殺した相手へ復讐する為の「魔法のアイテム」といった感じでしょうか。金庫を開けてしまうと、その人物とその血縁者が時間と場所を超えて、一か所に集められて閉じ込められてしまうといった具合に…。

スーパーや店主も関係している?

あるいは、スーパーの金庫だけではなく、店主を含めたスーパー全体が「不思議な空間」への入り口になっているのかもしれない。なんだか、魔法とかファンタジーの世界になってしまうが、映画「トワイライトゾーン」の影響も受けているということを考えると有り得ると思う。

また、店主の役名は「アテンダント」と書かれている。なので「不思議な空間」への案内人とか、門番みたいな位置付けであるとも考えられる。(死を恐れていないようにも見えたし、もしかしたら人間ではないのかも??)

一族の中の最長老が亡くなった場所に集められるのか?

では、金庫を開けてしまうとどこに集められたのかというと、ポーランドの森であった。そしてその森は、一族の中の最長老であるドイツ兵のハンスが爆撃で戦死した場所。ということは、金庫を開けて血縁者が集められる場所というのは、その中の最長老である人物が亡くなった場所ということになる。

だとすると…

集められる場所というのが、一族の中の最長老が亡くなった場所ということであれば、人によっては森ではなく、都会のど真ん中だった可能性も有り得るわけだ。その場合、都会だから大勢の人がいるのだろうか?それとも、無人化した街に血縁者達しかいない世界になるのだろうか?

森に迷い込んでしまった時の各人の年齢

森に迷い込んでしまった時の各人の年齢は、当人が亡くなる数日前~1年前の年齢のようだ。

トムは、自分を虐待した牧師への復讐と自殺をする為に養護施設に向かう途中だったのだから、死亡する数日ほど前と考えられる。ジョディは、強盗殺人で捕まる前であり、死刑はその後であるから、死亡する1年前とかそれくらいであろうか。サマンサは1週間前に妊娠がわかったばかりで、お腹も大きくなっていないので、死亡する10か月ほど前だろうか。そして、ハンスは爆撃で戦死する数日前に小屋に現われたことになる。

金庫の魔法?というのは、各人が亡くなる数日~1年前の時代から一か所に集められて、そこに閉じ込められたまま一族が滅亡させられるということになるわけだ。

でもそれだと、わざわざ不思議な森に集めなくてもどうせ死ぬのだから、そうすることに何か意味があるのだろうか?

金庫を開けるくらいなら、死んだ方がマシ?

スーパーの店主は、強盗に銃を向けられても金庫を開けることを拒んだ。つまり、金庫を開けるくらいなら死んだ方がマシと考えたということになる。

しかし、サマンサ達は歴史を変えられてハッピーになったのだから、金庫を開けた方が得策ではないのか?それとも、サマンサ達がハッピーエンドになったのは偶然であり、本来であれば森に閉じ込められて死ぬはずだったのか?店主は、どうせ死ぬなら今すぐ銃で撃たれた方がマシと考えたのだろうか?

あるいは、金庫の魔法というのは「人生をやり直すチャンス」でもあり「死んでも脱出できない地獄」とも考えることもできる。自分次第で天国にも地獄にもなりますよと解釈すればよいのか。また、店主が金庫を開けなかったのは「金庫は自分で開くもの、言い換えると、人生は自分で切り開くもの」をいうことを表現しており、店主が言った「お気に召さんよ」という言葉は「人生をやり直せるチャンスはあるが、それには努力や運が必要だよ。それらを惜しんで強盗などをするお前達にはお気に召さんよ」という意味が込められているのかもしれない。

ちなみに、金庫にはダイヤルらしきものが付いていた。サマンサは、銃を撃った後に、金庫を開けることができたのだろうか?

ハンスはどこにいたのか?

最初の数日間、ハンスは現われなかった。

では、防空壕に隠れていたのか?しかし、防空壕については、扉の上に落ち葉が積もっていたし、鍵も掛かっていた。そこにハンスが隠れていたとは思えない。

それとも防空壕に潜んでいたのか?もしそうだとすると、落ち葉については、自然に積もったのではなくて、ハンスが防空壕の存在を隠す為に工作したとも考えられる。でも、小屋には鍵を掛けていないのだから、防空壕にだけ鍵を掛けるのはおかしいような気がする。なのでやはり、防空壕に鍵が掛かっていたということは、防空壕はしばらくの間誰にも使われていなかったと考えるべきではないか。

小屋にしても、トムは「人のいた形跡がない」と語っていたので、そもそもハンスは小屋さえも使っていなかったと想像する。

では、ずっと屋外に潜んでいたのか?それは変だよね。だって、そもそもあの小屋も防空壕もハンスが使っていたはずなのだから、そこを使わずに野宿する理由がない。

ん~、謎だ。でも、もしかすると…

その答えは「クルクル回るおもちゃ」?

もしかすると、ハンスが現れる前までのシーンは、第二次世界大戦よりも後の時代であり、だからハンスが現れなかったのではないか?小屋の無線機が割とキレイな状態で埃も被っていなかったので、第二次世界大戦の終戦直後かもしれない。

つまり、ハンスが現れる前と後では、時代が違うのかも?

流れを追って考えてみると、まず、トム、サマンサ、ジョディが小屋に集められた。だが、その時代は第二次大戦中ではないとする。もっと後の時代だ。次に、小屋に置いてあった「クルクル回るおもちゃ」をサマンサが動かした。この時、意味ありげなシーンになっていたのが気になった。なので、この「クルクル回るおもちゃ」には時間を巻き戻す不思議な力があったのではないか、と考えた。サマンサは作品中に2回くらい「クルクル回るおもちゃ」を動かしている。実際にはもっと動かしていたかもしれない。

なので、3人の時間というのは、サマンサがおもちゃを動かす度に少しづつ第二次大戦中のハンスが戦死する直前の時間まで巻き戻され、その結果、ハンスが活動している時間軸と重なったのではないか?

実際に作品を確認してみると、森の中で聞こえた「銃声」も「飛行機の音」も、サマンサがあのおもちゃを発見して動かした直後から聞こえるようになった。トムが一人で過ごした最初の4日間は銃声も飛行機の音も聞いていないと思う。

でも、こう考えると、ハンスが戦死した場所に3人が集められたのに、なぜ、時間だけはハンスがいない時代だったのか?という疑問が残る…。

また、ラストの爆撃シーンで小屋は完全に破壊されてしまった。だとすると、トム、サマンサ、ジョディが小屋に集められた時の時代が戦後だとすると、小屋が存在しているのはおかしいということになる。だって、戦争中に破壊されてしまったのだから…。

ん~、わからん。

クルクル回るおもちゃは、スーパーにも置いてあった

冒頭のスーパーのシーンをよく見てみると、店主の後ろにある棚に「小屋にあったのとは色と大きさが違う別のクルクル回るおもちゃ」が2~3個置かれているのが確認できる。しかし、小さいので2個なのか3個なのかは確認できなかった。また、その中に小屋にあったおもちゃが含まれているかも確認できなかった。

そして、ラストのスーパーのシーンでは、クルクル回るおもちゃがハッキリと3個確認でき、その中の一つは、小屋にあったおもちゃと同一だった。

もしも、冒頭のスーパーに置かれていたおもちゃが2個だったとすると、ラストでは1つ増えたことになる。これは、金庫が開かれる度におもちゃが増えるのだろうか?

金庫の中には、クルクル回るおもちゃが入っていて、開いた人物とその血縁者がどこか別の時間軸と場所に飛ばされ、そのおもちゃだけがスーパーの棚に戻ってくるのだろうか?

歴史はどのように変わったのか?

ハンスは爆撃によって戦死することはなく、生き残ることができた。そして、ドイツが敗戦したなどの理由から、奥さんとアメリカに渡ったのだろう。

※ ハンスが生き残ったことで、ハンスの奥さんはアメリカ人と再婚せずに済んだわけだが、ハンスの奥さんが戦後にアメリカに渡るという歴史は、変わらなかったのだろう。

※ ラストでのスーパーの店内を確認すると、張り出されているメニューが英語だったので、スーパーの所在地はアメリカ国内であろう。

※ またハンスの邸宅?には英語の新聞が置いてあったのでこれもアメリカ国内だろう。すると、ハンスの奥さんはドイツ語も話せるアメリカ人か、英語も話せるドイツ人だったのかもしれない。

アメリカに渡ったハンス夫妻からサマンサが生まれた。

サマンサがアダムと結婚したかはわからないが、ラストで一人だったということを考えると、アダムと結婚し、アダムはベトナム戦争で戦死したのかもしれない。

※ だとすると、この点も歴史は変わらなかったということになる。また、サマンサの母もどこかの時点で亡くなっているのだろう。

その後にサマンサはジョディを生むが、両親、もしくはハンスがそばに居たために出産で死ぬことを避けられたのだろう。

ジョディについては、サマンサに育てられ教育も受けられたので不良になることはなかった。

ジョディはラストで強盗とすれ違うが、その男はケヴィン・バンクスであった。もちろん、この時は歴史が変わっていたのでお互いに面識はない。(強盗の男は最初も最後もケヴィン・バンクスだと思われる。頬のほくろの位置が同じだった)

なので、もうケヴィン・バンクスとの間に子供をもうける可能性はない。ということは、トムは生まれてこないか、あるいは、ジョディが別の誰かと結婚し、トムが生まれてくるのかもしれないし、もうトムは生まれてこないのかもしれない。トムがどうなったのかが不透明ですが、トム以外は幸せになったということですね。

トムの自己犠牲によって一族が救われるという展開を狙ったのか?

一族の中でトムだけがどうなったのかが不明である。これは、トムの自己犠牲によって一族が救われるという展開を狙ったのか?

しかし、トムはラストで何かしただろうか?ハンスを助けようと追いかけたが、揉み合いになって格闘したが、ハンスに撃たれると同時に姿が透明になって消えてしまった。(母であるジョディが死につつあるので、トムの存在が消えてしまった)

トムとハンスの格闘にはあまり意味がないし、トムがハンスを救ったようにも見えない。むしろ、ハンスと格闘になった為にジョディが撃たれてしまったではないか!

最終的にハンスを救ったのは、一緒に防空壕へ逃げるよう促したサマンサです。

なんだかトムだけが可愛そうだ。

この作品のテーマ

この作品のテーマというのは、人生は自分で切り開くものであり、それには努力や運も必要ということだろうか。

また、人生は自分だけのものではなく、先祖や子孫と繋がっているということ。自分が生まれることや、自分がどう育てられるかは、親や祖父母の影響を受けるし、逆に、自分の人生が子供の人生に影響を与えるということ。

わからなかったところ

残念だったところ

その他


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