映画「エンド・オブ・トンネル」を見て
更新日: 2022-04-18 02:08:45
映画「エンド・オブ・トンネル」
2017年 2時間
原題(英)「At the End of the Tunnel」
自動翻訳すると「トンネルの終わりに」
隣家の地下室から物音がすることに気付いたホアキンは、それがトンネルを使った銀行強盗であることを知り、その金を横取りすることを思いつく…。
- 感想
- 愛犬のカシミーロを安楽死させるという選択が早すぎる
- ベルタが馴れ馴れしすぎる
- ベティがホアキンの寝室にやってきたのは何なのだ?
- 隣家の地下室と壁一枚で繋がっているのか?
- トンネルが浅くないか?
- ベルタを薬物で眠らせて監禁した件
- ベティが強盗犯の作業場に忍び込んだ件
- ベルタが寝返ったこと
- 金庫の床が薄すぎる!
- 爆破したのに水道管がすぐに破裂しないのはおかしい
- ホアキンはなぜ麻薬組織の金しか盗まなかったのか?
- ホアキンが強盗犯を溺死させたのは気分のよいものではなかった
- 浸水するスピードが早く、引くのも早い
- なぜ、強盗犯の仲間であるグットマン刑事を呼び出したのか?
- グットマン刑事のキャラが良い
- 床の穴が浸水後の陥没ではないと気付かないのはおかしい
- グットマン刑事は、なぜホアキンたちを生かしたのか?
- ラストはよく出来てる
- 監視カメラだけで強盗団を描いた方が良かったような気がする
- ハッピーエンドと呼べるのだろうか?
感想
良く言えば、良く練られている作品。複数の伏線が用意されており、それが上手い具合にラストで回収されている。
悪く言えば、偶然や都合の良過ぎる部分がある。
所々に「ん?」となるシーンがあったが、全体としてはそれほど不自然さを感じなかった。
良く考えてみると、おかしな点が複数あり、それを見つけるのも楽しい。
ラストでの嘘をついて仲間割れを起こさせるという展開は良い。
あっと驚く横取り計画なのかと思いきや、トンネル内を移動する札束の台車からバレない程度に金を掠め取るという程度だったのが残念。
エンド・オブ・トンネルというタイトルを言い換えれば「新しい人生のスタート」といった意味なのだろうけど、そういう気分にはならなかった。
そう思わせるのであれば、心理描写や人間そのものを描くなど人間ドラマ的な要素をもっと盛り込むべきだったと思う。
隣家での犯罪を知ってしまうという設定は、アルフレッド・ヒッチコック監督の映画「裏窓」を思い出す。
愛犬のカシミーロを安楽死させるという選択が早すぎる
病気の愛犬カシミーロのために治療や手術ができないものかと調べていたのに、助からないと聞かされると、いきなり安楽死という発想になるホアキンにビックリ。
病気とはいえ、まだ元気そうなのに、毒入りクッキーを準備するのが早すぎるような…。
ベルタが馴れ馴れしすぎる
ホアキンの監視役としてベルタが送り込まれたわけだけど、とはいえ、馴れ馴れしすぎて違和感を感じた。
例えば、ホアキンの本を整理したり、誕生日会を開いて踊って見せたり、一緒にお酒を飲んだりと、何だか同棲しているみたい。
ベティがホアキンの寝室にやってきたのは何なのだ?
ホアキンがベッドで横になっている時に下着姿のベティがやって来たが、あのシーンは一体何だったのだ?
ホアキンもうっすらと目を開けていたような気がするが…。意味深だ。
隣家の地下室と壁一枚で繋がっているのか?
ホアキンは地下室の壁に穴を開けて、隣家の地下室で行われているトンネル強盗計画の盗聴や監視を行っていた。
しかしだ、ホアキンの家はアパートやマンションではなく、一軒家ではないのか?
一軒家であれば、隣家の地下室と壁一枚で繋がっているなんて有り得ないのだが…。
それに、本来地下室って四方の壁が土で囲まれているので防音性に優れているはず。
なので、そもそも壁の向こうから話し声が漏れるっておかしいんですよね。
トンネルが浅くないか?
強盗団のトンネルはホアキン宅の床下のすぐ下に掘られており、随分と浅いと思った。
強盗団はトンネルを掘る際の音や振動がホアキンにバレてはならないということで気を使っていた。
ならば、本来はもっと深いところにトンネルを掘る必要があったはず。
しかし、そうしなかったのは、制作側の都合ということだろう。
床下ギリギリにトンネルを掘ったことで、ホアキンは簡単にトンネルに辿り着けたし、金庫室の床も簡単に破ることができた。
ベルタを薬物で眠らせて監禁した件
ホアキンは普通の男なはずだ。それがいきなりベルタを縛り付けて、おまけに薬物を注射して監禁した。
いくらなんでも乱暴すぎやしないだろうか?
それに、薬物で意識を失っている間は、ベルタは強盗団との連絡が途絶えることになる。作品中ではあまり問題にならなかったが、それは不自然だ。
トイレや食事の問題もあるだろうし。
また、監禁する側と監禁されている側なのに、いつの間にかキスとかする関係になっちゃってるし…。ホアキンは「俺が二人を守るよ」とか言いつつ、また注射で眠らせてるし…。
ベティが強盗犯の作業場に忍び込んだ件
ベティはかくれんぼ好きという設定らしいけど、いくらなんでも真っ暗なトンネルに一人で入っていくものだろうか?
ベルタが寝返ったこと
ベルタと強盗団のリーダーは恋人関係という設定だが、この男はベルタの娘ベティに性的虐待をしていることが明らかになった。
そのような設定した理由は、ベルタがホアキン側に寝返る理由が必要だったことに加え、ベルタがリーダーを殺す理由も必要だったからだろうけど、子供に対する性的虐待というのはこの作品には重すぎるし、それで寝返らせるというのは、都合がよすぎると思う。
そもそも、ベルタがリーダーを殺す必要はないと思うし、その方がラストの印象が良くなると思う。
ベルタが寝返る理由なんて、リーダーには本命の女が別にいたという設定でも良かったのではないか?
金庫の床が薄すぎる!
これはこの作品の最大の問題点だし、思わず突っ込んでしまった。
金庫室の床がコンクリート製だったからこそ強盗団は爆破の準備をしたのではないのか?
それなのに、ホアキンは金庫室の床を簡単にぶち抜くことができた。(そのように見えた)
ならば、爆破する必要ないじゃん。
爆破したのに水道管がすぐに破裂しないのはおかしい
これはたぶん、制作者が強盗犯グループを始末する為にそのような設定にしたのだろう。
つまり、強盗犯は7~8人くらいいたが、車椅子であるホアキンが一人で倒すのは無理すぎる。
なので、強盗犯のうち、リーダーを含む3名はラストシーンの為に生かしておき、残りは金庫室とトンネル内で終わらせるという設定にしたのだろう。
ホアキンはトンネル内で犯人を溺死させたけど、普通の人間であるホアキンが殺人をするというのは違和感が有り過ぎるので受け入れられなかった。
殺人を犯すのではなく、金庫室に足止めされてしまった強盗団がそのまま警察に逮捕されるという展開にした方が気分よく見られたと思う。
ホアキンはなぜ麻薬組織の金しか盗まなかったのか?
ホアキンの計画では、強盗団が爆破をする前に金庫室から金を盗み出し、その後に爆破が起きればトンネル内が浸水して、強盗団は手を出せずに逃走するしかない。というものだったはず。
ホアキンは麻薬組織の金のみを盗んで退散したが、本来ならバッグに入るだけ金を入れてもよかったはず。
ではなぜ麻薬組織の金のみを盗んだのかというと、爆破が失敗するという設定に関係していると思う。
もしも、ホアキンが可能な限り金庫を開けてしまうと、後からやって来た強盗団に金を盗んだことが発覚してしまう。
それを防ぐために、強盗団が狙わない麻薬組織の金のみをホアキンに盗ませるという設定にしたのだろう。
あと、針金みたいなので簡単に金庫が開錠できてしまったのも不自然でした。
ホアキンが強盗犯を溺死させたのは気分のよいものではなかった
ホアキンは、浸水したトンネルに取り残された強盗犯を一度は助けようとしたが、抵抗されそうになったので蓋をして溺死させた。
ホアキンは家族思いのごく普通の人物のはずだ。
その普通の人物が金庫の金を盗むのはまだしも、殺人まで犯してしまうのは飛躍し過ぎているし、見ていて気分の良いものではなかった。
自己保身というかズルさを感じてしまった。そこが残念だ。
普通、人を殺してしまったら冷静ではいられないはず。そこもおかしい。
浸水するスピードが早く、引くのも早い
金庫室の中があっという間に人の背丈ほどの高さまで浸水したかと思いきや、警察がホアキンの地下室を調べに来たときには、ほとんど水が引いていた。
浸水するスピードが早すぎると思ったし、引くのも早すぎると思った。水はどこにいったのだ!
なぜ、強盗犯の仲間であるグットマン刑事を呼び出したのか?
金庫破りが発覚した後に、ベルタとの連絡が途絶えてしまった強盗団のリーダーら3人が警察官を装ってホアキン宅に訪ねてきた。
その際に、ホアキンは強盗犯の仲間であるグットマン刑事をメールで呼び出している。
ホアキンは、グットマン刑事が強盗団の仲間であることを知っているはず。
なぜなら、ベティが地下トンネルに浸入して強盗団の地下室に忍び込んだ際に、ホアキンは監視カメラごしにグットマン刑事を見ていたはずだし、後のシーンでは、その時の映像でグットマン刑事を脅そうとしたのだから。
それなのになぜグットマンに助けを求めたのか?この点がわからなかった。
まあ、この点については、制作者側の都合で、強盗団の死体を始末させる役として登場させる必要があったのだろう。
そしてついでに毒入りクッキーを食べたグットマン本人も始末できるのだから。
ところで、グットマン刑事は「後から別の警官もやって来る」と語っていたが、誰も来なかった。あれは嘘だったのか?
グットマン刑事のキャラが良い
グットマン刑事のキャラはよくあるアメリカ映画のキャラクターみたいで好印象だった。
あれだけの殺人が起きてもジョークを言って一切動じないところもユーモアがあっていいし、自分の車に死体を放り込むという豪快さや、血痕の後始末の方法を教えてくれたりと、なかなか興味のある人物だと思った。
グットマン刑事は、奪った金を山分けすることをホアキンに提案したが、その条件を飲んでも良かったのでは?と思う。
あと、クッキーをそのままポケットに入れちゃう"がさつなところ"も好き。
床の穴が浸水後の陥没ではないと気付かないのはおかしい
金庫破りが発覚した後に、警察がホアキンの地下室を調べていた。(床穴?の写真も撮っていた)。
警察はおそらく床に空いた穴を発見しただろう。しかし、その穴を浸水による陥没と判断したようだ。
これはおかしいと思った。床穴はコンクリートのような固い素材でできているはずだし、そう簡単には陥没はしない。
第一、穴を見てそれが自然によるものではないと気付かないのは不自然だと思った。いくらんんでもわかりそうなものだが。
この点については、その後にやって来た強盗団も「浸水のせいで床が陥没したみたいだな」と言っていたが、都合がよすぎると思った。
グットマン刑事は、なぜホアキンたちを生かしたのか?
グットマン刑事は奪った金と死体を車に積み込んで、そのまま出て行ってしまった。
グットマン刑事が犯人の仲間であるという証拠の動画も消さなかったみたいだし、顔も見られてしまっているのだから、生かしておけないとは思わなかったのか?
それとも、ベルタは殺人を犯したし、ホアキンも強盗を犯したのだから、それを見逃してやるから何もしゃべるなと取引したのか?
ラストはよく出来てる
ホアキンが嘘をついて強盗団を仲間割れさせたのはお見事だし、毒入りクッキーやベティが盗んできた腕時計も、うまく伏線回収をしていた。
残念だったのは、グットマンにお金を奪われてしまったことだろうか。
もしも、ホアキンがまた嘘をつくなりしてグットマンを足止めさせておけば、お金を守ることができたかもしれない。
しかし、それだと4人の死体をホアキンが始末しなくてはならなくなる…。
だから、グットマンを外に逃がすような設定にしたのだろう。うまくできてる。
で、お金が奪われてしまったので、その代わりに新しい家族が手に入るという設定にしたのだろうか?
監視カメラだけで強盗団を描いた方が良かったような気がする
この作品では、主人公であるホアキンが隣室で行われている強盗計画をこっそり監視するというところが魅力の一つだと思う。
それなのに、強盗団目線でのシーンがあったので、その魅力が失われてしまったような気がした。
盗聴や監視カメラの映像だけの方が、想像力を掻き立てられて面白かったのでは、と思った。
ハッピーエンドと呼べるのだろうか?
ホアキンは金を盗むことには失敗してしまったが、その代わりに新たな家族を手に入れることができた。
今後は、家を売っお金で3人と犬で新たな生活を始めることになるのだろう。
しかし、感情としては「ああ、良かったね」とはならなかった。
なぜなら、ホアキンはトンネル内で強盗犯を溺死させたし、ベルタは彼氏であった強盗犯のリーダーをベティの見てる前で射殺した。
ベティは性的虐待を受けた挙句に、母親の殺人も目撃してしまうなんて…。(この作品はそんな作品じゃないのに…)
ベルタがどのような人物なのかは不明だが、ホアキンは殺人を犯すような人物として描かれていないし、ベティにしてもあの年齢で親の殺人を目撃するなんて重すぎる設定だ。
そして、そういったことをサラリと受け流して普通に生活していったら、逆に怖いんですけど。
また、ホアキンとベルタが恋人関係になるというのも、展開が早すぎて都合がよすぎる。だって監禁したり注射したりという関係だったんですよ?
果たしてこれはハッピーエンドと呼べるのだろうか?
思うに、ホアキンもベルタも、殺人を犯すシーンは必要無かったと思うし、ベティの性的虐待の設定も無い方が良かった。
ラストは、ホアキンとベルタはいずれ恋愛関係に発展するのだろうな、と観客がそう思うように仕向けるだけで良かったのでは?なんて思った。