名無しさん

映画「孤独なふりした世界で」を見て

公開日: 2022-05-20 09:43:17 (10340文字)
更新日: 2022-05-20 09:29:13
映画感想

映画 孤独なふりした世界で

映画「孤独なふりした世界で」
2020年 1時間39分

原題「I Think We're Alone Now」
自動翻訳すると「ふたりの世界」

世界中の人が死に絶え、町の中でたった一人生き残ったデル。彼は空き家を巡回しながら遺体を埋葬したり片づけをして毎日を過ごすのだが…。

目次

感想

なぜ、世界中の人が死んでしまったのかということが一番気になるところかもしれないけれど、この作品ではそれはどうでもよいことで、この作品が描きたかったのは、デルという孤独で人間嫌いな男が変わっていくというか立ち直っていく姿ではないだろうか。

孤独よりも気の合う誰かと一緒に居た方が楽しいよね、ってこと。

そして、そのためには相手を受け入れる心も大事だし、待っているだけではダメで勇気を出して自分のテリトリーを出ろ、というのがこの作品からのメッセージだと思いました。

グレースにしても、パトリックの支配?から飛び出したことでデルに出会えたわけだし。

セリフよりも表情などから感情を読み取る必要のある作品だと思うし、だから人によって解釈が異なる部分もあると思う。

無人となった町の景色や絶望的な効果音(音楽)も良かった。

いろいろと考えたり想像することができるので好きです。

ロケ地

無人となった商店街通り

シーン: 00:56~ オープニング
シーン: 23:17~ デルが商店街の道路を清掃車で掃除するシーン
シーン: 30:52~ デルとグレースが買物袋を持って歩いているシーン
シーン: 43:31~ デルとグレースが犬を探して歩くシーン
シーン: 1:12:26~ デルが歩いているシーン
座標: 41.19655881414502, -73.96338645533959
マップ: https://goo.gl/maps/JCgXhYLKR5RmiwvL6
場所: ニューヨーク州ヘイバーストロー

無人となった商店街は、上記地点から東側を撮影したようです。

オープニングのシーンでは「BAR」と書かれている黄色い看板や左端にギリギリ映っている「Vilma's Bakery」というお店の名前が確認できますが、同じものがストリートビューでも確認できます。

このオープニングのシーンでは、お店のドアや窓、ボロボロになった国旗などがアップで映し出されますが、それらのシーンもこの場所で撮影したのかもしれません。何となく「映っていたのはこの店かな?」と思える店がありました。

デルは、この商店街を徒歩で移動していたので、図書館付近にあるのかなと思いましたがが、実際の場所は図書館から 20キロ以上離れており、しかも図書館のあるハドソン川の対岸側にありました。とても徒歩で行ける距離ではありませんね。

住宅がアップで映る空撮シーン

シーン: 03:33~
座標: 41.19568478708886, -73.96066421191533
マップ: https://goo.gl/maps/D1oYuMMKbBMbgod46
場所: ニューヨーク州ヘイバーストロー

ベージュ色をした屋根の二階建ての住宅が見えますが、その住宅は上記座標にある住宅を空撮したものと思われます。

左右対称になっている住宅の形状や石畳なども作品内のシーンと同じであることが確認できます。

図書館の前

シーン: 03:40~ デルが図書館の前に車を停めるシーン
シーン: 17:10~ デルが図書館に向かって歩いているシーン
シーン: 17:56~ デルとグレースが車から降りて図書館の前で会話をするシーン
座標: 40.995311643482374, -73.88319111394402
マップ: https://goo.gl/maps/SBoMpgjeAcdhVKHh7
場所: ニューヨーク州ヘイスティングス=オン=ハドソン

デルが図書館の前に駐車をするシーンとデルが図書館に向かって歩いているシーンは、上記座標から図書館側を撮影したものと思われます。(ストリートビューで確認できます)

デルとグレースが車から降りて会話をするシーンも、同じく図書館の目の前の道路で撮影されたものです。(ストリートビューで確認できます)

図書館の名前は「ヘイスティングス=オン=ハドソン図書館」です。

図書館の外観などが作品と同じであることが確認できます。

図書館を「地球表示」で見てみると、図書館の後面にはハドソン川が流れています。

また、後面にベランダのようなスペースと大きな窓も確認できます。

この大きな窓は「本棚が並べれれている部屋」の窓かもしれません。この窓の前でデルの食事シーンなどを撮影したのでしょうかね?

52:24~でグレースがポップコーンらしきものを直火で炙っているシーンがあり、また、39:10~では、デルが魚を捌いているシーンがありますが、それはこのベランダで撮影したのかもしれません。

デルが食事をしていたスペースの窓に見えるのは湖かと思いましたが、そうではなくてハドソン川だったようです。

そのハドソン川ですが、川幅が 1.3km ほどもあります。

釣りをしていたのも、湖ではなくてハドソン川だったのかもしれません。

ハドソン川の水ぎわの空撮シーン

シーン: 11:00~
座標: 41.197213942830494, -73.95857082437159
マップ: https://goo.gl/maps/TiAdbiQKQfdRbYBo6
場所: ニューヨーク州ヘイバーストロー

ハドソン川の空撮シーンは、上記座標から北側を空撮したものと思われます。

作品内では、左上に映る2本の煙突、島のような地形とそこにある赤色の円錐形の屋根の建物、島から伸びる桟橋などが確認できますが、上記マップを「地球表示」で見てみると作品内と同じであることがわかります。

川沿いの公園を空撮したシーン

シーン: 12:13~
座標: 41.1956620641314, -73.9588460304427
マップ: https://goo.gl/maps/ttQkzzHuX7ruRAD7A
場所: ニューヨーク州ヘイバーストロー

川沿いの公園を空撮したシーンは、上記座標からエメライン・パークという公園を空撮したものです。

デルの運転する車が交差点を曲がるシーン

シーン: 24:35~
座標: 41.1966288992462, -73.96440648181377
マップ: https://goo.gl/maps/JHE2iaHPHV4BfMiQ7
場所: ニューヨーク州ヘイバーストロー

車に乗ったデルが交差点で一時停止したら、目の前をグレースの車が走り抜けたので、追いかけようとするシーンです。

このシーンは無人となった商店街の通りの目と鼻の先にある交差点です。

作品内で左端に映る「BROADWEY」(ブロードウェイ)という緑の標識やその後ろにある「La Nacional」という白い壁の店が確認できますが、実際の道路の名前もブロード・ウェイで同じですし、白いお店も確認できます。

工場の跡地のような更地やハドソン川を映したシーン

シーン: 44:32~
座標: 40.99498464057216, -73.88382146095704
マップ: https://goo.gl/maps/4XC3PiZYWAA5Akzu5
場所: ニューヨーク州ヘイスティングス=オン=ハドソン

この座標は図書館の敷地内にある展望スペースがある場所で、この展望スペースからハドソン川の下流方向を撮影したものかもしれません。(もしかしたら、図書館の背面にあるベランダから撮影したのかも?)

この座標から道を挟んで「ヘイスティングス=オン=ハドソン駅」があります。

このシーンの左下に映っているのはおそらく線路であり、黄色いラインは駅のホームで、青緑っぽい色をした鉄骨のような構造物はホームの屋根だと思われます。

また、川の上に橋の基礎というかコンクリートの塊のような人工物が2つ並んで配置されているのが見えますが、上記マップから航空写真を見ても同じものがあります。

遠くの方を見てみると、二本の煙突やさらに遠くに大きな橋がうっすらと見えますが、この橋はジョージ・ワシントン橋だと思われ、実際の地図でも位置関係が合致します。

明かりの灯る夜のパームスプリングスを俯瞰したシーン

シーン: 1:20:28~
座標: 33.844534671748846, -116.60255277837722
マップ: https://goo.gl/maps/mEQBxDh4VoinpNfj7
場所: カリフォルニア州パームスプリングス

明かりの灯る夜のパームスプリングスを俯瞰したシーンは上記座標付近から撮影したものと思われます。

作品内をよく見てみると、山に挟まれた道路、道路の左側にある黄色っぽい四角形の道路標識、道路の右側にある電柱とフェンスなどが確認できますが、上記座標からストリートビューを確認してみても、ほぼ同じだと思いました。(若干違う部分もあるが、撮影した時期の差によるものかもしれない)

パトリックとバイオレットの自宅

シーン: 1:20:58~ 住宅に接近して中の様子を探るデル
シーン: 1:22:47 住宅を映すシーンで、住宅前のポストに「452」と書かれている
シーン: 1:29:24~ 住宅を出るグレースとデル
座標: 33.78992020897379, -116.54239088861533
マップ: https://goo.gl/maps/zx4feH1mxHkPtpXy5
場所: カリフォルニア州パームスプリングス

パームスプリングスにあるグレースが連れ戻されたパトリックとバイオレットの自宅です。

作品内では「パームスプリングス マルータウェイ 452」という住所でしたが、実際の住所は「パームスプリングス アズールサークル 452」(452 Azul Cir, Palm Springs, CA 92264)のようです。

1:29:24~のシーンとストリートビューを比較すると、水色のドア、ヤシの木の位置、一部だけ石を積み上げたような壁、452という住所を示す表示(1:22:47)、窓の形などが一致します。

グレースの家やデルが片づけをしていた家など

この作品は、ニューヨーク州ヘイバーストロー、ニューヨーク州ヘイスティングス=オン=ハドソン、カリフォルニア州パームスプリングスの3つの町で撮影されたものだと思いました。

ただ、グレースの家やデルが片づけをしていた家は、パームスプリングスではないでしょう。雰囲気が違いすぎます。

なので、おそらく、これらの住宅を撮影した場所は、無人となった商店街を撮影したヘイバーストローか、図書館を撮影したヘイスティングス=オン=ハドソンではないかと想像していますが、ヒントになるものが少なくてどこかわかりませんでした。

グレースの白い家については、家の正面の壁に「13」という番号が表示されており、これは住所を示していると思われます。

また、グレースの家のすぐ隣に黄色い壁の家があるので、それもヒントになりそうです。

ストリートビューで探してみましたが、範囲が広すぎて諦めました。

グレースの車のナンバープレート

ちなみに、グレースがデルの住む町にやって来た時に乗っていた車のナンバープレートは「ネバダ」でした。

パトリックの住むカリフォルニア州パームスプリングスを出発し、デルの図書館があるハドソン川までは、なんと直線距離で 3,800キロもあります!

地図

開始 4分33秒 からのシーンでデルが町の地図を広げているシーンがあります。

このシーンは「地図の一部分をアップにしたシーン」と「地図全体を映したシーン」によって構成されておりますが「地図全体を映したシーン」を見ると地図には「HUDSON RIVER」(ハドソン川)と書かれています。

「地図の一部分をアップにしたシーン」がどこなのかを探してみると「ヘイスティングス=オン=ハドソン図書館」の目の前のエリアではないかと思いました。

実際の図書館の前には「メープル・アベニュー」という道路があり、それと平行して一つ奥に「ワ―バートン・アベニュー」、同様にもう一つ奥に「ウィットマン・ストリート」があります。

そして、メインとなる「ブロードウェイ」という大きな道路もあります。

実際の図書館の目の前のエリアについて「西」を「上」にして見てみると、上記の道路の配置と「地図の一部分をアップにしたシーン」の道路の配置が同じになるのです。

ただし、作品内の地図について、若干違う部分があるように見えました。

例えば、作品内の地図内はびっしりと住宅が並んでいますが、実際はもう少しゆとりのある配置です。

また、実際にはメープル・アベニューなのに作品内ではメーブル・アベニューになっていたり、ウィットマン・ストリートがウィックマン・ストリートになっていたりと一文字だけ変えているようでした。

ところが、「地図全体を映したシーン」の地図については、図書館周辺の地図ではないような気がしました。

まず地形が一致しません。作品内の「地図全体を映したシーン」は「半島」というか「岬」の先端のような地形になっているように見えるのですが、実際の図書館の周辺はそのような地形ではありません。

作品内ではアップで映る地図も全体を映した地図も同じ地図として描かれておりますが、実際の撮影に使われた地図は別々の場所の地図だったのかもしれません。(架空の地図か、実際の地図を加工して使った)

この作品ではハドソン川流域の架空の町という設定なのかもしれませんね。

花火

盛大に上がっていた花火は市販の花火というレベルではなく、業者が打ち上げるような大きな花火だったけど、あれはグレースが打ち上げたのだろうか?

打ち上げた理由は生存者を探すため??

デルは人間が嫌いなのか?

世界中の人が死んでいなくなり、デル一人になったのかと思いきや、グレースが現れた。

たった一人で生き残って不安や孤独を感じているのであれば、自分以外の誰かに遭遇したらホッとする気持ちや嬉しさを感じるはずだと思うのだが、デルは顔を会わせる気もなく完全拒否する姿勢だった。

思うにデルは人間が嫌いであり、心を閉ざしているのかもしれない。

例えば、街の人々から酷い扱いを受けていたとか、あるいは、子供の頃に酷く虐められていたとかだろうか?

事故で意識を失っていたグレースを治療してベッドで寝かせてあげたけど、デルは街から出ていくよう促した。

デルにとって街は自分そのものであり、街の中に誰も入れたくないというのは、心を閉ざして誰とも関わりたくないということを表現しているのだと思った。

夜勤の仕事

デルはかつて住まいにしている図書館で夜勤の仕事をしていたとグレースに答えていたけれど、それは夜勤であれば人との関わりが少なくて済むからだったのかもしれない。

なぜ他人の家を片づけているのか?

空き家だとわかっていても、家の中を荒らすことなく丁寧に扱っていたので、デルは几帳面で規律を守るようなタイプの人間なのだろう。

毎日釣りや読書だけでは時間が余って暇になってしまうので、他人の家を掃除したり片づけることを生きがいのようにしているのかもしれない。

空き家となった家を掃除したり片づけることに何の意味があるのかとも思うが、人間というのはたとえ意味のない事であっても何かしていないと生きられないのかもしれない。

部屋を片付けている理由は、電池を拝借したお礼という意味や、暇な時間を潰すという意味もあるのかな。

遺体を埋葬する理由は、死者への弔いからだろうか。

とはいえ、布団に包んだ遺体をそのまま引き摺って、乱暴に墓穴に放り込み、祈りを捧げることもなく埋葬していたので、事務的というか形式的にも見えた。

それに加えて、たくさんの人を埋葬したようだが、墓石、墓標のような物は一切なく、こんもりと土が盛ってあるだけ。

そう考えると、遺体を埋葬しているのは弔いの気持ちからではないのかもしれない。

デルは街の人間を嫌っていたのかもしれない。そして誰もいなくなった街はデルの所有物というか自宅の庭のような存在になった。

デルは自分の持ち物である各家を巡回して電池を回収したり、掃除をしていたけど、掃除や片づけをしたのは、その家の住人のためにしてあげたのではなく、自分の所有物というか庭を掃除するという感覚だったのかもしれない。

そして、遺体を埋葬したのは、自分のテリトリーの中に遺体があるのが邪魔だったから、郊外に運んで埋めていただけかもしれない。

つまり、埋葬というより不用品を処理するという感覚だ。

そんな気持ちだったから、遺体を丁寧に扱わず、祈りや黙とうも捧げなかったし、墓標も立てなかったのではないだろうか。

後にグレースに黙とうするよう忠告されてからは黙とうするようになったが、これはグレースに出会ったことで人間らしさというか、そんな気持ちを取り戻したからではないだろうか。

子犬を発見した時の人の声?

グレースが子犬を発見した家の前で「ダメだ」という人の声が聞こえたが、あれはいったい何だったのだろう?

他人家族の写真をファイリングしている理由

デルは片づけた住宅から写真を回収して図書館に保管していたが、これはなぜか?

デルは街の管理者になったつもりで部屋の片づけなどを行って、写真を回収するのは記念とかコレクションのような感覚なのだろうか?

写真のファイリングについてグレースに怒られた件

デルが他人家族の写真を図書館内に保管していたけど、それについてグレースが怒っていた。

グレースから見ると、それは失礼であり、いくら片づけてあげているとはいえ、形式的で感情が籠っていない行為だということなのか?

それとも、写真をこっそりと見ていたグレースが「パパ?」と独り言をつぶやいていたが、もしかしてあの写真の中にグレースの家族の写真が含まれていて、勝手に人の家族の写真を持ち去るなという意味で怒ったのだろうか?

または、その両方かな?

その後、デルは写真を見ながら相手の名前や生前の出来事について思い出してあげていたけど、グレースに影響されて人間的な感情を取り戻したのかもしれない。

グレースは他に生存者がいることをなぜデルに黙っていたのか?

デルは他に生存者はいないと考えており、その世界観を壊したくなかったから?

グレースは、他に生存者がいると答えればデルに追い出されると考えて黙っていたと言っていたが、なぜ他に生存者がいることをデルに話したら追い出されるのだ?

グレースを迎えに来たパトリックとバイオレットはグレースの両親なのか?

グレースによると、父親はトイレで亡くなり、母はエクササイズ中に、と語っていたが、嘘をついているようには見えなかった。

しかし、デルを含めて4人でテーブルを囲んでいる時は「私の両親よ」と答えた。そして、怒って退席したデルには「違う」と答えた。

「私の両親よ」と答えた時のグレースは無理に言わされているようにも見え、その言葉を聞いたパトリックは満足そうな表情になり、バイオレットは戸惑うような表情になった。

いったいどちらが本当なのか??

デルがグレースの家族写真を見ているシーンがあって、そこにグレースと家族とおぼしき人物が写っていたけど、顔が良く見えないので役には立たなかった。

グレースは「無理やり家族にさせられた」と語っていたが、どういうことなのだ?

無理やり家族にさせられたとなると、なぜそうする必要があるのかという疑問が生まれるし、この作品はそういう話ではないような気がする。

バイオレットは「本当の家族になるのよ」とグレースに言っていたので、本当の家族ではないのかもしれない。

それに、バイオレットはデルに「すてきな町ね、デル」と話していたので、この町の住人でもないし、グレースの母親でもないと考えることもできる。

それとも、脳の手術を行ったために、かつて住んでいたこの町の記憶が欠落してしまったのか?

あるいは、本当の両親だけども、脳の手術を行ったために別人のようになってしまったという意味でグレースは両親ではないと言ったのか?

グレースの首の後ろには手術の跡があったので、グレース自身がおかしくなっているという可能性もあるかも?

ん~、よくわからん。

パトリックは義父でバイオレットは本当の母??

グレースの部屋に入って来たバイオレットはグレースを抱きしめ、グレースも抱きしめ返しており、本当の親子のようにも見えた。

もしかすると、グレースとバイオレットは本当の親子で、本当の父が亡くなった後にパトリックと再婚してグレースの義父になったということなのかも??

グレースによると父は「トイレで死んだ」と語っていたが、母については「ママはエクササイズ中に」というだけで、死んだとは言っていない。

とはいえ、パトリックが撃たれた際にバイオレットは「私には娘がいたの」という意味不明な言葉を呟いていた。

やっぱり本当の親子ではない??

パトリックはどのような人物なのか?

4人でテーブルを囲っている時にグレースが席を立とうとしたらパトリックは「座れ」と制し、また、トイレに行こうとしたら「我慢しなさい」と制した。

また、バイオレットはグレースに「私1人じゃ無理よ」と語った。

一人では無理というのは、パトリックと二人きりにはなりたくないという意味だろうか?

パトリックは一見穏やかそうな人物に見えるけど、実はそうではなくて、家庭内ではグレースとバイオレットを精神的に支配しているという関係なのだろうか?

パトリックの支配下に置かれているから、グレースは抵抗することができずに連れ戻されてしまったのではないだろうか。

バイオレットもグレースもパトリックに怯えているような表情に見える時があった。

デルの自宅

デルの家は地図に載ってないとグレースが言っていたけど、どういうことだろうか?

住宅街の中ではなくて町の外れにポツンと建っているようにも見えたし。

また、家の前に設置されていた大きなパラボラアンテナを見てグレースは驚いたような表情を見せたけど、どういう意味なのだ?

ネガティブな感情を消し去る手術

ラストでデルが向かったパームスプリングスには明かりが灯り多くの生存者がいて危機的な状況を感じさせないような街だった。

しかし、脳への外科手術を行い、絶望とか悲しみといったネガティブな感情を感じないように処置をしているようだ。

そして、全ての住人がその手術を受けているのだろうか?

そういったネガティブな感情を外科手術で取り去ることは果たして幸せなのだろうか?

辛い経験や悲しい経験もその時は苦しいかもしれないけど、そういった感情があるからこそ人の悲しみとか辛さを理解できるということに繋がると思うので、消し去ってしまうというのは、何だか人間ではなくなってしまうような気もする。

手術をしてネガティブな感情を感じないようにするということは、現実から目を背けるということを表現しているのだろうか。

バイオレットは死んだパトリックを見ても平然としているし、もはや人間と思えないような気がした。

デルも自分の町の外のことや他の生存者について知りたくもないし、興味も無さそうだったけど、それは見たくないとか認めたくないということであって、それも現実から目を背けていることなのかもしれない。

しかし、町を飛び出したことで再びグレースを取り戻すことができた。

グレースはなぜ父を撃ったのか?

勝手に手術をされたから?

しかし、連れ戻されれば手術されることが予測できていただろうし、そうであれば、デルの町に無理やりにでも留まることもできたと思うのだが。

やはり、パトリックに支配されていたために抵抗できずにつれ戻されてしまったのだろうか。

パトリックを銃で撃ったというのは、グレースの親離れ、自立、決別、独立といったことを表現しているのかもしれない。

デルはなぜ自宅を放置していたのか?

他人の住宅に侵入して片づけたり遺体を埋葬してあげていたけど、自宅については放置したままだった。

それは、亡くなった家族や荒れ果てた宅内を見ると孤独を感じてしまったり、辛かったからだろうか。

デルは一人でいることが好きな様子だったけど、心の奥では孤独を感じていたのかもしれない。

パームスプリングス マルータウェイ 452

パームスプリングス マルータウェイとはパトリックらに連れ戻されたグレースが住んでいた住所。

この街を出ていく際にスローモーションで街の住人が映し出されたけど、外観は人間らしい行動をしているけれど、何だか宇宙人とかロボットを見ているようで不気味に見えた。

それは手術を受けてある種の感情を抱かないようになっているので、もはや人間ではないように見えたからだろう。

孤独

デルは孤独の生活を気に入っていて誰にも邪魔されたくない様子に見えたけど、グレースと出会ってからはグレースと一緒に過ごす方が楽しくなったようだ。

デルは孤独が好きというよりも、人付き合いが苦手とか人に対して何か嫌な思い出があるために殻に籠っていただけで、心の奥では誰かと触れ合いたかったのだと思う。

デルだけではなくて、ほとんどの人間は人と触れ合うことに喜びを感じるように作られているのではないかな。

また、町で一人ぼっちになってしまったのだから、それを受け入れた方が孤独を感じずに楽に生きれるというのもあるかもしれない。

もし、毎日が寂しいとか孤独であると考えてしまうと、かえって孤独や寂しさが大きくなって辛くなってしまうと思うので。

グレースも、元々は多くの生存者が暮らしている街で生活していたようだけど、その人達は人間の心を手術によって失っており、グレースも孤独を感じていたのかもしれない。


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