西村賢太「苦役列車」を読んで
公開日: 2021-12-16 09:46:34 (502文字)
更新日: 2021-12-16 09:43:01
更新日: 2021-12-16 09:43:01
昭和の時代を生きる19歳の北町貫多の日常を描いた作品。
この男の生き方は好きでやっているのではなく、この行き方しかできないんだろうなと思う。(決してバカにしているわけではない)
せっかくできた彼女?を練習台とか言ってる酷い男だが、同時に笑ってしまった。
金が無くなったら働き、金が入ったら酒や飯、タバコ、(たまに)女に使う。で、金が無くなったらまた働くという繰り返し。
でも、なんだか楽しそう。楽しそうだけど、苦役というタイトルが付けられているということは、本人が望んだ生き方ではないということだろうか?(今の生活から抜け出したいけど、努力するのは面倒なので結局動かない、という感じに見えた)
読んでる分には、自由で羨ましいと感じることもあるが、実際にはできるものじゃない。永遠に健康で働けるならまだしも、蓄えもないのだから、いつか破綻するのは目に見えている。
まあ、そんな将来の心配なんてするような男ではなさそうだけど。そんなところもこの男の魅力かもしれない。
そんな貫多だが、一冊の小説を読み込み、そして、小説家になるわけだが、そのようになっていくきっかけや心境の変化に興味を覚えた。いったい何があったのだろうか?