カズオ・イシグロ「日の名残り」(一日目 夜)を読んで
更新日: 2021-11-22 20:21:24
車から降りて休憩していると、地元住民であろう労働者風の男に「(足腰が丈夫なうちに)丘に登って景色を見たらどうだい」と勧められるエピソード。スティーブンスは、内心むっとしたようだが、これは、「自分はまだまだ現役」という気持ちがあるからなのでしょう。
午後になって宿泊先に着くと、宿の女主人から「たいそうな客」とみなされたと語るスティーブンス。その理由は、フェラディのフォードと上等のスーツを着ていたから。きっと鼻高々だったのでしょうね。
そんな感じで、昼間はイギリスの広大な田園風景に感動したり、宿泊先の周辺を散歩して楽しんだようだが、夜になって部屋に戻ると、また執事としての話が始まる。
その話の中で、別の屋敷の執事であるミスター・ネイバーズを偉大な執事と認めないのは、客観的に見たスティーブンスの分析なのか?それとも、嫉妬心からのものなのか?
スティーブンスのお父さんのエピソード
- お父さんは、「虎に遭遇したものの、冷静に対処したある執事のエピソード」が好きだった。
- お父さんの運転する車内で無礼な態度をとる客人に対し、お父さんは、冷静に対処したというエピソード。
- スティーブンスの兄は、戦争中、ある作戦で犬死した。その作戦の司令官が客人として来られた際に、お父さんは、見事にその司令官の担当を努め上げたというエピソード。
品格とは、何であるか?
分かりやすく言えば、「どんな事が起きようとも、感情的になることなく冷静に対処できること」でしょうか。また、スティーブンスは、その人物を見ただけで、直感的に品格を備えているかどうかを見定めることができるという。もしそうだとすると、品格とは、「どう行動するか」ということだけではダメで、「相手に対し品格を感じさせる雰囲気みたいなもの。オーラというか迫力というか、そういった内面から滲み出てくるもの。」も同時に持ち合わせていなければならないということでしょうか。
スティーブンスは、プライドが高い?
(品格のある)執事はイギリス人にしかおらず、「私もそう思います」と語るスティーブンスは、プライドが高いのかもしれない。
「日の名残り」(一日目 夜) まとめ
第一日目は、旅行の話はほどほどで、後は執事としての品格の話がメイン。これは、スティーブンスという人物の頭の中は執事のことでいっぱいということを表しているのか?サブタイトルも一日目の「夜」となっているし。
一日目 夜 ここで終わり。
続きは、 二日目 朝
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