群ようこ「れんげ荘」を読んで
更新日: 2022-06-05 18:57:47
群ようこ「れんげ荘」
預金を取り崩しながら毎月10万円の予算で一人暮らしを始めたキョウコさんの日常を描いた作品
感想
想像とは違った内容だった
預金だけで生活をするというスタイルに興味があって「れんげ荘」を読んだものの、予想とは違った内容だった。
この作品はキョウコさんの家族とのやり取りや隣室に住んでいるクマガイさんとの交流がメインとなっていて、お金に関することはほとんど描かれていない。
私が期待していたのは「お金」のことで、例えば、毎月預金残高が減っていくという生活の心境などについて知りたかった。
アパートの契約
キョウコさんはいくつかの不動産屋で断られたものの、れんげ荘に辿り着くことができた。
しかし、賃貸契約をする時点でキョウコさんは無職なので、保証人や審査がどうだったのかが知りたかった。
築年数が40~50年近くある家賃が3万円というアパートなので、保証人や審査は無かったのだろうか?
無職の人が賃貸契約をするリアルな苦労も描かれていたらなあ、と思った。
ご近所さんとの交流
キョウコさんの隣室にはクマガイさんという60代くらいの女性が住んでおり、一緒に食事に出掛けたりと仲良くなったようだけど、やっぱりそれは女どうしだからですかね?
お隣りさんとそこまで仲良くなるというのは、男の場合はあまり無さそうな気がする。
男だとせいぜい挨拶を交わす程度ではないだろうか。
キョウコさんの場合は、クマガイさんと同じような生活スタイルだったから気があったのかもしれない。
同じような境遇の人が隣に住んでいたら、安心感を感じるものだと思う。
預金生活者の不安
私もほとんど仕事をせずに遊びだけで生活をしていた時期があるのだけど、その時は「果たしてこれで良いのだろうか?」という不安というか迷いというかそんな気持ちを感じた。
それは、自分と同年代の人は働いているのに自分だけ好きなことをしていたからだと思う。
例え、潤沢な蓄えがあったとしても、将来はわからないことだらけだ。
例えば、どれだけ長生きするかとか、病気や介護が必要になるのではないかとか、物価が上がって生活費が高くなるのではないかとか、税金や社会保険の負担額が大きくなるのではないかとかだ。
全てお金が絡んでいるのだけど、そういった不透明なことを考えると「果たしてこれで良いのだろうか?」という気持ちになった。
老後になったらもう働けない可能性が高まるので働くなら今しかないとか、バイト程度でも収入があれば何かあった時に選択肢が増えるので少しは収入を確保すべきではないか、とか考えてしまう。
それ以外にも、働くのが当たり前という価値観があるからかもしれない。
その他大勢と違う生き方をしていることに不安を感じたわけだ。
預金生活者で幸せに生きていくには、自分の価値観という太い柱を持ち、その価値観で自分の幸せを追求していく必要があると思う。
それができれば、毎日楽しく暮らしていけるだろう。
キョウコさんのお母さんのように他人の価値観に合わせて生きていたら、たぶん不安だらけで続けられないと思う。
預金生活者の幸せ
キョウコさんは月に10万円の予算で生活しているので、趣味や娯楽に掛けられる予算は限定的だろう。
その限られた予算の中で最大限に楽しめる趣味や生きがいを見つけたらいいし、見つかるかどうかは自分次第だと思う。
お金の掛からない散歩にしても、それを楽しめるかどうかは自分次第だし、捉え方は変えることができる。
預金生活者の時間
通勤と労働時間と収入がゼロになる代わりに、膨大な時間が生まれる。
この時間にすることがないと恐ろしく暇になってしまうだろう。
ダラダラとネットやテレビを見ていては時間の無駄だし、お金が掛からなくてたっぷりと時間を費やせる趣味が必要だ。
理想は、お金を使わずに体と頭を使う趣味だろうか。これだと財布に優しくて健康にいい。
例えば、外で楽しむ趣味なら散歩やサイクリングが良いのではないだろうか。
サイクリングは自転車本体だけお金が掛かるがその後はあまりお金が掛からない。
半日くらいは楽しむことができるし、健康的だ。
自宅に居る時は、やっぱり読書だろうか。あと物づくりとか。