山本周五郎「ゆうれい貸屋」を読んで
公開日: 2022-03-25 18:22:26 (563文字)
https://www.aozora.gr.jp/cards/001869/card57766.html
青空文庫で無料で読めます。(21,522文字)
仕事もしないで毎日をダラダラと過ごしている弥六は、部屋に現れたお染という女の幽霊を妻に迎えることにした。そして二人は、お金儲けの為に「幽霊を使った復讐代行サービス」を始める…。
感想
タイトルが「ゆうれい貸屋」ですけど、まさか本当に幽霊が出てくる話だとは思いませんでした。また、作風がコメディータッチというか喜劇というのも予想外で、なんだか、落語を聞いているような気分になりました。
毎晩のように酒や食事を用意してくれる幽霊のお染ですが、それらは全て近所のお店から無断で拝借していたので笑っちゃいました。
著者は「人間は働くべし」ということを言いたかったわけではないと思うけど、仮に「人間は働くべし」と言われても、幽霊が本当にいるかどうかはわからないので、その説得力には欠けるかなと。むしろ、この物語の場合、スタッフとして採用した幽霊の人選が間違っていただけなので、それさえ間違っていなければ大成功する可能性は十分あったはずだ。まあ、それだと、実家に帰った「本当の妻」が救われないが…。
ラストは不幸になるのかと思いましたが、心機一転、真面目に働くことになったのでハッピーエンドでした。