吉村昭「仮釈放」を読んで
公開日: 2021-07-01 02:30:38 (391文字)
更新日: 2021-07-19 08:26:56
更新日: 2021-07-19 08:26:56
浮気をした妻を刺殺し、相手の男を刺傷し、その母親を焼殺して無期刑の判決を受けた男が、16年後に刑法にしたがって仮釈放された。長い歳月の空白をへた元高校教師の目にこの社会はどう映るか?己れの行為を必然のものと確信して悔いることのない男は、与えられた自由を享受することができるか?罪と罰のテーマに挑み、人間の悲劇の原型に迫った書下ろし長編小説。
あらすじ より引用
面倒見のいい保護司に支えられつつ、一歩、一歩、社会復帰をしていくのですが、物語の結末に「え!」っとなりました。この男は真面目ではあるが、怒りに火が付くと、自分自身をコントロールできなくなってしまうタイプ。そして、そこがこの物語の一番怖いところだと思った。こういった人間には刑罰に加え、医療的な心のサポートが必要なのでは、と感じた。
最後に涙を流しながら保護司のもとに向かう男の姿が印象的。もう泣くしかないよね。。。とにかくこの物語は悲劇である。